労働時間と就業時間と勤務時間とどう違うの?給料が出るのは〇〇時間だけ?

労務用語集

似たような言葉で、「労働時間」、「就業時間」、「勤務時間」の3つがあります。
どのように違うのかご存知でしょうか?

実は「就業時間と勤務時間」に違いはありません。
「労働時間」は少しですが、大きく違ってきます。
具体的に何が違うのかというと、

労働時間には休憩時間は含まれませんが、就業時間・勤務時間には休憩時間は含まれます。



「就業時間」は、就業規則で定められた「業務を開始する時間から終了する時間まで」

就業規則に、

●朝9時出勤
●17時終業
●休憩時間1時間

と記載されていれば、就業時間は8時間です。
このように、「就業時間」には「休憩時間」も含まれています。

この就業規則の場合、「労働時間」は、「休憩時間」を差し引いた7時間です。

 

補足:「就業時間」も「休憩時間」も、
就業規則に絶対に記載しておかなければならないもの(絶対的必要記載事項)なので、
開始時間と終了時間がばらばら、という会社は、
就業規則の書き方に注意が必要です。
(開始時刻等が従業員ごとにばらばらの時、就業規則にどのように記載したらいいかついては、後日記載したいと思います)



●「労働時間」は、「労働者が使用者の指揮命令下にある時間」
●「休憩時間」は、「労働者が労働時間の途中に労働から離れて自由に過ごす権利を保障された時間」

賃金は、「就業時間」に支払われるものではなく、
「労働時間」に対して支払われるものなので、
使用者は休憩時間に賃金を支払う必要はありません。
休憩時間は使用者の指揮命令下にはありません。
(迷惑行為をしてはいけない、などは就業規則に定めることは可能なので、それもまた後日記載したいと思います)

※月給と日給と時給はどちらがいいですか?
というのもよく問い合わせを受けますが、祝日の日数の違いと、休憩時間の取り扱いの違いがあるので、こちらについても、また後日記載したいと思います。



労働時間に含まれるもの

①「手待ち時間」

手待ち時間とは、「労働時間の中で、実際に作業に従事してはいないものの、待機の指示を受けていたり、指示があればすぐに動けるように待機している時間のこと」

ケースバイケースでの判断が多いですが、コンビニ飲食店の店員さんのお客さんがいない時の待ち時間は、「手待ち時間」にあたることが多いようです。

 

②「始業前の準備、就業後の後片付け」

実態によって、労働時間に該当したり、しなかったりとあります。始業前の準備就業後の後片付けが、業務に必要なものであったり、一般的に通常かかるだろうと思われる時間の場合は労働時間とされる場合が多いです。

「他の人は皆5分で準備が完了するが、自分だけ30分かかる」、ということだと認められない場合もあります。
就業規則を作成できる立場にあるのなら、準備の時間がどのくらいかかるのか実態に沿って、事前に取り決めておくと労使間トラブルの防止になるでしょう。
(この項目も後日また別に詳しく記載したいと思います)

 

③「特殊健康診断」

「特殊健康診断」は労働時間に含まれます。
「一般健康診断」労働時間に含めるかどうか企業の義務ではないですが、
“労働時間に含めるのが望ましい”とされています。

※「特殊健康診断」とは…“労働衛生対策上特に有害であるといわれている業務”に従事する労働者が受ける健康診断です。

「一般健康診断」は、労働者が年に1度の定期健康診断のことです。

 

③「社内研修・行事」

参加が義務付けられていたり、業務をする上で必要なものであれば、労働時間に含まれる場合があります。



労働時間に含まれないもの

①移動時間

ご存知の方がほとんどとは思いますが、通勤時間は労働時間に含まれません。
また、出張の移動時間の取り扱いや、労働時間内の移動については、長くなりますので後日また別に詳しく記載したいと思います。

②休憩時間

上記に記載したとおり、使用者の指揮命令下にありませんので、労働時間とはみなされません。

③持ち帰り残業や朝残業が労働時間

実態によります。実際に与えられた仕事量が、一般的に勤務時間内に終わらないものであれば、労働時間として認められる場合もあります。

使用者や上司が、その状況を知ってずっと黙認していたかどうかも争点です。

※労働時間に該当するかどうかは、就業規則雇用契約書にどのように記載されているかにかかわらず
実際に、従業員会社指揮命令下におかれていたかどうかによって判断されます。
(こちらについても、また後日詳しく記載をいたします)

このように、きちんと定義されているというよりは「実態によって」判断されるケースが多いのです。
使用者は、就業規則に書かれているからと放置せずに、
実態がどうなっているのかをきちんと把握し、場合によっては指導しましょう。
自主残業も黙認されている状態だと違法行為に当たる恐れもあります。
与えた仕事量は労働時間に対して適切な量か、
必要であればきちんと残業代を支払う等、然るべき対応を取りましょう。



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